……」




名前を呼ぶと微かに身を強張らせて、恐る恐るというふうに翠の目が俺を見上げた。











俺の下に、の白い体がある。






俺達ニコルの視力にとって、夜の闇は問題にならない。


のあどけない表情を浮かべた白い顔がよく見えた。





その普段は縦の瞳孔は光を集めるために広がり、ヒトの瞳孔に近くなっている。

翠の眼は潤んでほのかに光を放ち、それが俺の中の衝動に拍車をかけた。




闇の中で浮かび上がる白く幼い肢体に、俺の腰に熱が集まる。





















を抱きたいと、そう想い始めたのはいつからだったか。


俺の血を分けられた、俺の片割れ。俺が名を付けた、俺の子供とも言える







その白い頬に指を滑らせた。




指先に伝わる柔らかな感触と、痺れるような刺激に酔いしれる。

もその快感に似た感覚に頬を朱に染め、僅かに息を上げている。







快感にか寒さにか、ぶるりと身体を震わせて、華奢な腰をよじらせて――――深く繋がれば、どれだけ心地良いだろうか。




その欲求のままに、の体に手を伸ばした。














指を頬からうなじに移し後頭部を固定して、そしてと目を合わせたままゆっくりと口づける。



は抵抗もなく、むしろ俺の首に腕を回して縋り付くように求めてきた。










―――――目眩がするほど、愛しい。






「…ぁ……はぁっ…………ナノぉっ……!」




啄むような口づけの合間にが甘い吐息を漏らした。

それに誘われるように舌を差し入れる。




上顎を舐め歯列をなぞり、の小さく柔らかな舌に自分の舌を絡めて吸い上げる。

やわやわと甘咬みしてやると、耐えられないというように吐息を漏らし、は知らず腰を揺らめかせた。



粘膜同士が触れ合って起こる快感が、体を更に熱くさせて、無意識のうちに手がの腰へと伸びる。



到達したそこに指を絡めて強弱をつけて扱き上げる。

思いがけない場所への刺激に強張る小さい身体をほぐすように、柔らかい毛に包まれた猫の耳を優しく撫でてやると、僅かだが安心したように力を抜いた。



まだ自慰さえ経験していないだろう
幼い身体には、他人から与えられる快感は強すぎて、ただただその未知の感覚に慄くだけだった。

引っ切り無しに嬌声をあげて、もっととねだるように、無意識に腰をナノの身体に押し付ける。




、感じているのか?」




からかうように言ってみれば、いやいやと首を振る。




「だがここはもう濡れている様だが……?」


「ひあぁっ!くっんぅ……!ぅく……も、やめっ…おね、がいっ……ナノぉっ!」




ここ、と示すように強く雄を扱いてやれば、上ずった悲鳴を上げて、やめてと哀願する。

その快感に濡れた表情に。言葉とは裏腹に淫らに蠢く身体に。もっと感じているが見たくなって、一層丹念に愛撫を施し始めた。



先走りの蜜を親指で先端に塗り込まれ、空いた片手で陰嚢を柔らかく揉みこまれる。刺激に慣れていないの雄は容易く起ち上がり、次第にヌチャヌチャと水音が響きだした。
その音が耳に届いて、羞恥がさらに快感を後押しする。




「やっ……!ナノォ……あっ、あぁっ…んっ…くぅっ……も……だ、めっ……!!」




ワケが分からないままに追い上げられて、背を弓なりにしならせ、腰を大きく上げ、一際大きく声を上げて、は達した。
















































そこで目が覚めた。



初めに目に入ったのは白い天井。

ぼんやりと辺りを見回すと、見慣れた自分の部屋が目に飛び込んでくる。




「………………夢、か?」




ベッドから身体を持ち上げる。

柔らかく日が差し込む窓。方向からすると、もう昼近くらしい。






温もりを感じて傍らを見やると、大事な少年が裸でそこに横たわっていた。



夢ではなかったのかと一瞬固まったが、どこにも性交の痕がないことが分かるとほっと身体の力が抜けた。



はいつも猫の姿で研究所の中にあるナノの部屋に来るので、当然服などあるはずもなく。
だからナノが見るはいつでも全裸だ。



その気を抜いた隙に、夢の内容が思い出された。

その生々しさに、思わず掌で口を押さえる。








の怯えた顔、キスしたときの蕩けた表情、滑らかで吸い付くような肌、縋り付いてきた腕の暖かさ。


絡めた舌の柔らかさと、ニコル特有の弱い電流にも似た、脳髄を駆け抜けるダイレクトな刺激までもが鮮明に思い出されて。







なぜあんな夢を見てしまったのだろう。夢の中で感じた、あの衝動はなんだったのか。




をどこまでも貪り尽くしたい、俺の与える快感を覚えさせたい。







を抱きたいと思ってしまった。


俺はエマを愛しているのに、なぜ。














でも。










「……可愛かった…。」







最後に見たの顔。



達した瞬間の、眉をひそめた艶やかな表情が、鮮明に脳裏に浮かび上がる。

射精の余韻にびくびくと震えていた身体の感触さえ愛しいと感じた、あの俺の感情はなんだったのか。







そしてさらに落ち込んだことに、惜しかったと思ってしまったのだ。


最後までやりたかったと。こんなに小さな子供相手に。






「俺は欲求不満だったのか……?」




隣ですやすやと眠る、欠片も警戒していないの横で、ナノは悶々と頭を抱えた。



そしてそれはエマが来て、気付かずに悩み続けるナノとその隣で寝ているを見つけて激怒するまで続いたのだ。














それからしばらく、エマとに対して目が合わせられないナノがいたそうだ。
























++あとがき++

2006年3月6日、加筆修正しました。
不完全燃焼なナノです。 夢オチ。