『女王騎士設定です』






「―――問おう。君が俺のマスターか?」


それは突然現れた。
猛々しく。雄々しく。およそ人間ではありえない男。
手がある、足がある。姿形は人間である。
そう、人間なのに、人間ではありえない、陽炎のように立ち上る――――翠青を幻視した。

土蔵の暗闇の中で、その男だけが浮かび上がっているようだった。貌は見えない。俺は、ひたすら茫然としていた。青い男に一度殺され、また殺されかけて、そしたら今度は別の男が現れた。今夜は非日常なことばかりが起きている。脳の許容範囲はとうに振り切り、混乱が頭を占める。

―――その時、一陣の風で雲が晴れた。世界がその来訪を祝福しているかのように、月光が男の上に降り注ぐ。

――――世界が一変した。

黒い衣に黄金の甲冑。夜にあってなお艶やかに黒い、星を秘めて波打つ長い髪。額に輝く、黄金の額宛て。  騎士だと、直感した。
―――そして最も目を引くのは、明るい月の光よりも美しい、燐光を放つ金緑の瞳。
男を構成している何もかもが、何よりも完璧で。俺が今まで知っていた世界の、なんと矮小なことか。この世界なぞ、男を引き立てるための装飾に過ぎない。………星が、彼を愛している。

―――俺がこうして座り込んでいる解説している意味、つまり理由は。
男の硬直してしまうような美貌をまともに直視してしまい。………俺は腰が抜けてしまっていたのだ。


「あ、アンタ……」
「―――サーヴァント・セイバー、聖杯の呼び出しに応じ参上した。……契約はここに完了した。この身は君の矛となり、盾となる。君の敵は俺の剣の響を聴き、俺は君の道を開き、君の背を守り、君の運命は俺と共に征くだろう。―――勝利の星は、俺たちの上に在る。」


―――なんて、
なんて、力強い言葉。

欺瞞でも慢心でもない。


直感した。

―――この男は、本当に、最強なんだ―――






続きません。