もういい加減にしてくれ。しつこすぎる。
























浪人たちを切りまくってたら(殺してないぜ?町中だし)女の人が人質に取られた。


油断してたとはいえ馬鹿すぎだろ俺!!


「刀捨てろや!この女殺すぞ!」


あぁもう女の人泣いちゃってるし!

首にくっつけんなよ!血ぃ出ちゃってんじゃん!



は刀をゆっくりと地面に置いた。
そして大丈夫だよという意味をこめて、人質の女の人に微笑んでやる。


「刀置いてやったぜ。さっさとその人放せよ。」

「まだや。刀をこっちに蹴れ。」


……手ぶらでも安心できないのか。
どこまでも男らしくないな。
強姦野郎と同じ位に情けない。


だから思ったとおりに言ってやった。


「俺が手ぶらでもまだ不安か……人質もいるというのに。あぁ、意気地の無いお前らに合わせて刀そっちにやるから、女の人放せよ。」


希望通りに刀を一番近くにいた男に蹴ってやった。
の言葉にこめかみをピクピクさせていたが、が武器を持っていないことに安心したのか女を放す。

女の人はまだ呆然と立ち竦んでいたが、が行って良いよと手振りで促したら慌てて人混みの中に逃げていった。


………別にお礼言われたくてやったんじゃないけどさぁ、一言くらいあってもいいんじゃない?とか考えてるうちに周りを囲まれたよ。
なんか最初よりも浪人さんが増えてる。
……あぁ、この店から出てきてるみたいだ。えぇと……桝屋。へぇ〜〜ピスメにも出てきてたけどほんとに在ったんだ!


下降気味だった機嫌が少し浮上してしたので、楽しく浪士達の相手をすることが出来た。平に構えて貫こうとする刀と胸の当たりを凪ごうとする刀を、少し身体をずらして避ける。


人質ももういないし、遠慮なくぶっ飛ばす!!


手近にいた男の首に回し蹴りが決まり、野次馬の中に吹っ飛んだ。


さてと。

「さっさとかかってこいよ。俺はまだ観光の途中なんだ。早く京の町を堪能したいんだからさ。」

蕩けるような微笑と共に、人差し指でちょいちょいと挑発するように招いてやる。野次馬の中から黄色い悲鳴があがった。



……なんで?


「てめぇ!ちょっと顔が良いからっていい気になってんじゃねぇぞ!!」


……はい?


まったく理解に苦しむことを言われて思わず首を傾げてしまう。
それを見た浪人たちは何故か顔を赤らめた。
ぶっちゃけキモいヨ。


「くそっ!!」


なんかやけになったみたいに突っ込んできやがった。
何なんだよほんとに。

向かってくる奴らを粗方なぎ倒してやったら、やっと自分たちの相手が一筋縄ではいかないことが分かったらしい。それはいいのだが……また人質を取られるとは。

「この女を助けたかったらそこで膝付けや!」


女の人はきょとんとしてる。何が起こってるのか理解できてないのかなぁ。まぁ怯えて騒がれるよりいいか。それにしても綺麗な人だなー。紺の長い髪に白い着流しっていう軽装なのに、凛とした感じがする。なんでか豚を抱っこしてるけどね。なんかピスメの尊敬する人に似てルナー。

とりあえず素直に膝を付く。人質の女の人には大丈夫だよというふうに微笑んでやった。

「よくもここまでやってくれたのぉ……」

にやにやしながら男の一人が近づいてきた。それににこりと微笑んで言ってやる。


「オニーさんたち、どこまでも情けないね。」

そしたらキレた。

「やかましぃんじゃボケッ!!!」

刀の鞘で頬を殴られた。

……結構痛い。衝撃で眼鏡も飛んじゃったし。


口の端から流れる血を親指で拭って、浪人たちを睨みつけた。
黄金と漆黒の双眸に射すくめられて、そしての脳細胞を揺さぶるような人外の美貌を直視してしまって、動きが完全に止まる。


その隙はほんの数瞬のものだったが、が行動するには十分すぎた。



地を這うように駆け出し、女の人の前で伸び上がる。艶やかな黒髪が煌めいたかと思うと、拘束していた男は地に倒れ、女性はの腕の中にいた。



「大丈夫か?」

と聞くと

「ありがとうございます。」

とにっこりと返された。





………ヤバイ。可愛いぞこの人。



「ところであの方たちはほっといていいんですか?」


殺気立ってますけど、と言われ振り返るとギラギラと睨んでくる浪人たち。



………忘れてたヨ!



「もういい加減飽きたし、殴られてちょっと痛かったし、終わらせてくるからちょっと待っててな?」



無意識のなんかクル言葉&優しく細められた瞳。


顔を赤らめるも、女性は咄嗟のように言葉を紡いだ。



「っいいえ!!私もお手伝いします!」


へっ?いやちょっと。









珍しいことに、は理解に数瞬を要した。









その隙に、腕の中にいたはずの女性は男たちを叩きのめしていた。