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「うん!やっぱりピースメーカーは面白い!」 俺は16歳の高校二年生。名前は。今は自室で漫画を読んでいるところである。 「新撰組って悲しすぎるよなあ……これだけ必死になって日本を守ろうとしたのに最後には……」 俺はなぜか新撰組に並々ならず惹かれている。 小さいころから剣術を習っていたせいもあるかもしれないが。 新撰組に関する資料に当時の古書の収集、最近は心の師匠とも言うべき沖田総司の死の理由となった肺結核を完璧に治す薬まで作ってしまうに及んでしまった。 あの土方歳三の趣味が俳句だっていうから、その修練もしてしまったくらいだ。 あぁ、ちなみに自分はすっげぇ頭がいい。 父親が医者なおかげでよく病院に出入りできてたし、 なんかよくわかんないけど看護婦さん達がやけに親切に救護の仕方とかを教えてくれたし。 さらに全国でもトップテンに入る頭脳の持ち主。 これは学生のための模試の結果とかではなく、地球全体での話だ。 このくらいのレベルになったら専門分野もあるから誰が一番すごいとか決められないんだって。 しかも剣術に関しては1対1どころか1対20の試合を無傷で潜り抜けてしまった。 相手は全員大人でしかも高有段者ばかりだぞ?自分でも実感湧かねぇよ。 ここで彼について説明しよう。 髪は漆のように艶やかな漆黒で、肩の下あたりまで伸ばしたものを無造作に紐で縛っている。 瞳は黒と金のオッドアイ。 これは母方の方の隔世遺伝が発動してしまったらしい。 日本人としてはあまりに不自然な色合いのため、普段から遮光眼鏡をつけている。 あまり色が濃い眼鏡ではないため、うっすらと目の表情が見えているのがまた世の女性のツボにはまり色々と構ってしまうらしい。 しかし彼はそのような効果をまったく意識していない。 ただ「なんて良い人なんだ!」と感激するだけなのだ。 運動は出来るといっても、剣術ばかりで道場の中ばかり。それに研究ばかりしていたせいもあって日に焼けておらず真白い肌をしている。 成長期に伸びた手足はすっと長く、身長もその年齢にしては大きく178cmほど。 細い首に支えられた白い面貌には垂れ気味の大きな目、 理知的に整った眉、目を伏せれば白い頬に影を落とす長いまつげ、 そしてすっとした鼻筋と薄めの唇が完璧なバランスで配置されている。 要するにレオナルド・ダ・ヴィンチ、北斉の蘭陵王、魏の美周郎もかくやといえる超人である。 しかし彼をよく知る僅かな人間は知っている。 彼は学問はもちろんスポーツも完璧にこなす人間であるが、なぜか自分への感情に対してはあまり敏感でないことを。 そしてその鈍感さはある種の自己防衛であることも。 そしてそんな彼は今、ピースメーカーという新撰組を題材とした漫画にはまっているのだ。 その第二部とも言うべきものも出ているが、まだそちらは購入していない。 「資料も溜まりに溜まったしなぁ。俺一人暮らしでよかった……父さんも早く追い出したかったみたいだしちょうど良かった……。でもいくら自分より出来が良いからって子供に僻むなよなぁ…。まあ自分で稼いだ金だし、家大きいし、気楽だからいいんだけど。」 思わずハァッと溜息ついちまった。 たかが学会で間違い指摘したぐらいでキレなくてもいいじゃん。 流せよ。さらっと。 まあそれだけが原因じゃないけど。 「そろそろ寝るか。明日も早いしなぁ。」 明日は早朝から剣術の出稽古がある。 剣術は剣道とは違って実戦的なもののことで、防具はよほど力の差が無い限り着けないし真剣を使っての試合もたびたび行われる。 寝不足はまずい。 「おやすみ。」 電気を消して布団に潜った。 「忘れてたっっ!」 跳ね起きて明日必要なものを袋に詰める。 着物に袴に木刀に真剣。屋外用の草履に足袋。 そして飴玉に手ぬぐいも突っ込んだ。 もしものために簡易救急セットも用意する。 ああその後に学会があるんだった。 新開発の薬とレポートもいれた。まあ全部頭に入ってるんだけどね。 ふと刀を眺める。 「そういやこの刀って父さんが初めてくれたものだったな……これ以外もらった覚えも無いんだけどね……。嬉しかったなぁ。やっぱり一緒に暮らしたいなあ。」 まあ言っても仕方のないことだ。 「今度こそおやすみ。」 暗闇に声が吸い込まれた。 |