それに気付いて


















「「任務完了しました!」」

まだ新人のあたしとイリーナは一緒に仕事をする事が多い。
本来ならレノ先輩の変わりに、イリーナだけがタークスに入るはずだった。
まあ、なんと言いますか・・・。
あたしもタークスに入りたかったわけで・・・。
だって給料いいし。
無理矢理、つーか周りの言葉を全部無視で押し入るように入ったと・・・。

「ああ、ご苦労だった」

ツォンさんも最初は微妙な反応だったけど、今では普通に扱ってくれる。
自分で言うのもなんだけど、あたしそれなりに素質あると思うんですよ。



「お疲れさま、と」
「いぃ゛!は、はい、お疲れ様です!」

無駄にびしっと敬礼してしまった。
その様子をやれやれと後ろで見ているイリーナとルード。

「・・・リフレッシュルーム、行かないか?と」
「ぅあ!はい!お供します!」

レノ先輩の後ろを駆け足で付いて行って、部屋を出た。


「あの二人、どうしたんでしょうか?」
「さあな」
「なんか、特にの方が・・・レノ先輩と喧嘩したんですかね?」
「喧嘩していたら一緒に居ないだろう・・・」
「あ、そうですよね。あの二人ラブラブですもんね」




エレベーターには誰も乗っていなくて、二人っきりだった。
先輩はポケットからタバコを取り出し、火をつける。

「あの、レノ先輩・・・?」
「ん?」
「タバコ・・・本数増えてません?」
「・・・があんな事言うからだぞ、と」
「うっ・・・!」

ものすごくイライラしています、レノ先輩。
口から煙を吐き出すのも妙に絵になっていて、見ている方が赤くなる。


「だ、だってレノ先輩が怪我したって言うからお見舞い行ったのに・・・」

先輩はクラウド達とやりあった時に怪我をして帰ってきた。
そこまで酷い怪我じゃなかったらしいけど・・・。
自分の彼氏が怪我をしたって言われたら誰だって焦るでしょ。
だからお見舞いに行ったのに・・・。


「先輩がヤラシイ事したからじゃないですかー!」
「したかったんだから仕方ないだろ、と」
「だからってあの時にしますか!?」
「タイミングが良くてな」

そう、先輩の家にお見舞いに行ったらベッドで横になってて。
痛いのかな?って思ったからベッドの脇に膝を付いて顔見てた。
そうしたら急に先輩にベッドに乗せられて、そのまま・・・。

ひぃ!思い出すだけでも恥ずかしい!!
せ、先輩のケダモノー!!


「だからって、なんで禁止令だすんだよ、と」
「あんなに恥ずかしい事もう嫌なんです!」
「その分感じて
「わーわーわーーーー!!!!」

耳を塞いで壁にベタリと張り付き先輩に背中を向けた。
後ろから小さいけど確かに舌打ちした音が聞こえて・・・。
うう、先輩怒ってる・・・。

バン!!

「ひゃ!」

先輩が壁に両手を付いて、私は壁と先輩に挟まれた。
う、後ろからものすごい嫌ぁな気配が・・・!

「ひゃあああ!!」
「さすがに俺もイライラしてんだぞ、と」

首筋を、な、舐められた!?

「先輩が少し我慢すればいいじゃないですかー!」
「いつまで?」
「うぅ・・・それは・・・」
「期限付きなら我慢してもいいぞ、と」
「は、半年?」

「「・・・・・・・・・」」

「無理だな、と」
「うひゃぁぁ!」

先輩の手が壁から私の腰に移動してきた。
ゾワゾワっと背筋が震えて、なんとか先輩の手を止めようとその上に自分の手を置く。
しかし見事に無視され手は上に這い上がってきた。



チーン

「・・・」
「先輩、着きましたよ」
「・・・」
「・・・」

レノ先輩は『閉』を、私は『開』を連打していた。

「先輩、出ますよ!」
「折角ここまできて途中でやめられるか、と」
「壊れちゃいますから諦めてください!」
「そっちが諦めるんだな」

「あ、あの、すみません・・・」

社員が一人、ものすごく困った顔をしてこちらを見ていた。
腰に手が回っていて明らかに怪しい雰囲気。
そんな中でカチャカチャと音が鳴っていた。

って、早く出なきゃ!

「す、すみません!今でま
「悪いけど使用中だぞ、と」
「何言ってるんですかあなたはー!!」

先輩をエレベーター押し出して、リフレッシュルームまで走って行く。
油断も隙も無い人なんだから・・・!




「はい、先輩」
「サンキュって・・・俺はブラックを頼んだんですけど?」

手渡したコーヒーは明らかに白い。
見た目からしてブラックじゃない。

「ミルク入れたんです。カルシウム摂った方がいいですよ、先輩」
「・・・」

満面の笑みで言い、有無を言わさずに飲ませた。
大丈夫!
ミルクは入れたけど砂糖は入れて無いから!
マイルドになっただけですよ。

「甘い・・・」
「嘘付かないでくださいよー」
「なんか・・・やたらマイルドだぞ、と」
「成分の半分はミルクですから」
「半分?」
「むしろ三分の二ぐらい」
「それって・・・」
「いわゆるカフェオレですかね?」
「・・・」

コーヒー、もといカフェオレを一度見てから一気飲みする。
そしてすぐにタバコに火を点けながら窓際まで歩いていった。
ちょっとやりすぎた?

「先輩、今日はなんでそんなに怒ってるんですか?」
「いつもと同じだぞ、と」
「そんな事

『調査課のさん、お電話が入って下りますので・・・』

「電話?なんだろ。先輩、私戻りますね?」
「俺も戻る」
「そうですか?じゃあ一緒に行きましょ?」

はい、と手を差し出すと、レノ先輩は少し考えてから手を取った。
その顔は少し嬉しそうで。
先輩は何考えてるか分からないけど、慣れればそれなりに主導権握れるんだよね。


戻ると、部屋には誰もいなかった。
任務かな?

「電話、電話っとー」

先輩はそのままソファに座って机の上に足を伸ばした。

「は・・・、ああ、うん。もうケータイにしてって言ってるじゃん」

出るとお母さんだった。
私は田舎から出稼ぎ?に来ているのでお母さんはしょっちゅう電話を寄越す。
心配なのは分かるけど・・・もう20過ぎていますから。

「・・・うん。こっちは大丈夫。じゃあ切るよ?うん、またね」
「お袋さんか?と」
「あ、はい。あっち雪すごいらしくて」
「雪?」
「一年中降るんです」
「へぇ・・・」

当たり前の様に先輩の横に腰を掛けた。

のが失敗だった。

「なななな、何で押し倒すんですかー!」
「タイミング良くて」
「その言い訳はもう無効ですから!」
「じゃあ、したいから」
「それも聞きました!」

ひぃ!お助けー!
ワイシャツを引っ張り出し、その中に手を入れてくる。

「つ、冷たい」
「温めろよ、と」

そのまま背中に移動して、ブラのホックに手をかけた。
ちょ、ま、さすがにヤバいですよ!?

「ひゃ!」
「色気がないな」
「う、うるさいですよって、いい加減にして下さいっ!」
「ちょっと黙ってろ」
「は?っぅん!」

深くキスをする。
何気に気を使ってくれる先輩は、私が嫌がる事は絶対にしないでくれる。
指で数えられるぐらいしかキスをした事の無い私にはかなりきつい。
息が苦しくなって顔を背けると、片手で上に戻されまた深くなる。
そろそろ、と先輩が唇をちゅ、と吸い離した。

「んぅ・・・ふっ・・あぁ゛ー・・・」
「・・・可愛く無いぞ、と」
「うるさいです。ってゆーか退いてくださいよ」

ジタバタと抵抗してみても、両腕をソファに縫い付けられ余計に動けなくなった。
神聖なる会社でこれはまずい。

「先輩が悪いんですよ!」
「は?ってぇ!!」
「お邪魔しました!!」

先輩の腹に思いっきり膝蹴りを食らわせて部屋を飛び出した。
周りに人の気配が無いので、ブラのホックとシャツを戻す。


「あれ、。何してるの?」
「あ、イリーナ!ね、相談に乗って!」
「え?うん。いいけど」

再びリフレッシュルームへとダッシュして行った。

その頃部屋に残されたレノはまたタバコを吸っていた。
いつの間にやらルードが帰ってきていたらしい。

「レノ、窓辺で吸え」
「はいはい、と」
「・・・と何かあったのか?」
「あいつ・・・」

レノはふぅ、とため息を吐いた。







「はい、ココア」
「ありがと。それで?相談って何?」
「うん、レノ先輩の事なんだけど・・・」
「あー。喧嘩でもしたの?」
「喧嘩っていうか・・・」

イリーナは机に頬杖をついてココアを飲んでいる。
私はさっき飲んだから何も買わなかったけど。
指先を膝の上でモジモジさせていると、

「はっきりしないと、本当に先輩に嫌われちゃうよ?」
「やっぱそうだよね・・・」
「先輩ってまどろっこしいの嫌いだもんね」
「・・・そうだけど」
「コーヒーもブラックしか飲まないよね」
「?」
「タバコは必ず○○のとこのしか吸わないし」
「ちょ、イリーナ?」

何を言いたいのか解らない。
それより、なんでそんなに先輩の事知ってるんだろう。

「先輩は銃の命中率も実は高いし」
「・・・」
「それに、先輩は左利きで
「両利き!」

ガタン、と椅子が倒れるくらい勢い良く立ち上がった。
思いっきりイリーナに指をさして、

「せ、先輩の事は私が一番知ってるの!先輩は普段は左だけど右も使えるし!」

「ブラックが好きなだけで、他のも出せば飲んでくれるよ!」

「タバコは、前は●●のをずっと吸ってたけど廃盤になったから、アレを吸ってるの!」

「それに、いつも優しくて、私の事考えてくれて・・・」
はレノ先輩の事考えてる?」
「あ・・・」

一息で叫んでしまい、肩で息をする。
するとイリーナはニヤリと笑って、私の後ろを覗きこむ。

「ですって、先輩!」
「・・・え?」
「じゃ、私は失礼しまーす」

楽しそうに去っていくイリーナ。
恐る恐る後ろを振り向くと先輩が驚いた顔をして立っていた。
どうやら偶々来たら私が先輩の事を大声で喋っていたと。
とりあえず私は灰皿を手にとって、近づいていく。

「はい、先輩。灰が落ちますよ」
「あ、ああ」


ど、どうしよう・・・。
私とイリーナと先輩しか居なかったのがせめてもの救い。
先輩はタバコの火を消し、灰皿を机に戻した。

「えーっと、先輩・・・」
「●●は廃盤になったんじゃないぞ、と」
「え!?そうなんですか・・・」
がキスすると、スースーして嫌だって言うから変えた」
「あ・・・言ったかもしれないです」

そうだった。かもしれない。
先輩と初めてキスしたときに、先輩の口はスースーしてた。
メンソールだったか、メントールだったか・・・。
それで私が渋い顔をして・・・。
確かにそれからタバコが廃盤になったって言ってた気がする・・・。

先輩はすごく優しくて。
目に見える優しい事はあまりしないけど、細かい気遣いはしてくれる。
そんな所も好きになったのに。
私、どうしてこんなに自分勝手だったんだろう。

「先輩・・・あの、私・・・。ごめんなさい、でした・・・」
「別に気にして無いぞ、と」
「でも私自分勝手でした」
「・・・そんなに気にしなくてもいいけど」
「うぅ・・・だって私先輩に酷い事ばっかり言いました〜」

本格的に泣き始めた私を抱き締める先輩。
すると私の耳元で、

「それなりに傷ついたし、じゃあ慰めてくれるか?と」
「・・・は、はひ・・・」






夜、先輩の家。
結構広いワンルームでベッドとソファと机とテレビ。
本当に必要最低限しかない部屋は余計広く感じる。

どうしていいか分からず、所在無さげに立ち尽くしていると、
後ろから抱き締められた。

「せ、先輩。わわ私シャワー入ってきます・・・」
「・・・仕方ないな」
「い、行ってきます!」

かなり恥ずかしがりながらも、念入りに体を洗っちゃったりして。
洗った髪を緩く結んで部屋に戻ると先輩がまたタバコを吸っていた。

「先輩お風呂どうぞ?」
「ん」

すれ違うときにミネラルウォーターの入っているペットボトルを渡された。
それをありがたく頂戴して、ソファに座る。
バスタオルを体に巻きつけているだけだと寒い・・・。
タバコ・・・そんなに美味しいのかな。

10分もしないで出てきた先輩もタオル一枚で。
非常に目のやり場に困ります・・・先輩。

「タバコ美味しいですか?」
「俺にとってはな、と。は吸わなくていい」
「そうですか?」
「早死にするから」
「なら先輩も止めてくださいよ!」
「俺はタバコを止めたら死ぬな」
「もー」

タバコの箱を取り上げられて、抱えあげられた。
そのままベッドに放り投げられ上に圧し掛かってくる。

「合意の上だよな?」
「そ、そうですね・・・」

それじゃ、と言いながら口付けてきた。
昼間とは少し違う、労わるような、けど深いキス。
歯列をなぞられ、私のを誘い出すような動きに、気付くと応じていた。

「ふぅ・・・んぁ・・・」

唇を離すと透明の糸が私達を繋げた。

「っあ・・・んん」
、声押さえるなよ、と」

胸の膨らみを確かめるようにタオルの上から揉まれる。
まださすがに恥ずかしくて手で口を塞いでしまう。
先輩は不服そうに眉を顰めると、手の上に舌を這わした。

「んやっ・・・先輩」
「名前で呼んでくれないか、と」
「レノ・・・ぁ!」

タオルをゆっくりと外して直に触れる。
やっぱり先輩の手は冷たい。

「そんなに固くなるなよ、と。大丈夫だから、俺に任せて・・・」

その言葉に体の震えが収まるのが分かる。
少しずつ、でも確実に波に攫われるのを感じた。



















翌日神羅ビル。
調査課は大乱闘勃発。

「やーやーやー!先輩あっちに行ってくださいよー!!」
「いやだねっと!」
「ぎゃぁぁ!来ないでくださいー!」

右へ左へファイルが飛ぶ。

「今度は何があったの、!」
「あ、危ないルード先輩!」
「っ・・・」

コーヒーも飛ぶ。

「悪いなルード、、逃がさないぞ、と」
「やーーー!!!」




朝、目が覚めると目の前にはレノ先輩がいて。
自分がした事が一気に流れ込んできた。

「せ、せ、せ」
「せ?」
「先輩・・・なぜ目の前に」
「当たり前だろ、と。昨日ヤったんだから」
「・・・ぎゃあああ!!もうやだやだ、絶対にダメです!禁止ー!」
「またかよ!」

その騒ぎは会社も巻き込まれた。
































あとがき
お待たせしました、ゆきうさぎ様!大変遅くなって申し訳ありません。
初微エロ。どこまでが微なのか分からず、微妙なところで切りました・・・。
それでは、こんなものでよろしければ、どうぞ!
今回はリクありがとうございました!!
「蒼天―あおぞらー:橘雪流」