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「私と一緒に寝させていいか?」 嫌だ!さすがにそれは嫌だーーー!何でこんなでかくて固そうな男とベッドに入らなきゃならねぇんだ!! 「ゃっ、 ちょっと旦那様……さすがにそれは」 ほらっ!グレミオさんでさえ引いてるぞ!! 「父さん、 キャラじゃないよ。」 真顔でトドメを刺すな。 テオはチチオヤだろ……。 そんなに俺がテオに懐いたのが気に入らないのか。 その後、 俺はグレミオさん特製のシチューを食べさせてもらって、 俺の拾い主であるの寝床に潜り込んだ。 俺の身体を潰さないようにシーツに入り込んできたの枕元で丸くなる。 「君を見たときはびっくりしたよ。 草原で黒猫が寝てるんだもん。」 寝てたんじゃなくて気絶してたんだよ。 「でもね、 そのとき感じたんだ。 君と会ったのは運命だって。」 返事の代わりに尻尾での頬を緩く撫でた。 それが嬉しかったのか、 はクスクスと笑う。 「まるで僕の言葉が分かってるみたいだね。 それとも本当に分かってるの?」 真剣な顔で俺に尋ねる。 分かってる。 ぜんぶ聞こえてるよ。 子供は純粋だ。 世界の常識をそのまま受け止めることをしない。 それなりに永い時を生きた俺にはの柔軟さが酷く尊いものに思えて、 眼を細めて微笑を表した。 「あっ、 今笑った?ほんとに僕の言ってること分かるんだ!不思議な猫だね……。」 の手がそっと伸びてきて、 俺の頭を撫でた。 「明るいとこじゃ分からなかったけど、 君の目、 光ってるんだね。 月を閉じ込めた翡翠みたいだ……」 月?あぁ、 光彩が黄色に近いからかな。 魔晄が照らすせいで金色に見えるらしい。 セフィロスやクラウドもよくそう言ってくれてたな、 二人の方がよっぽど得難い色を持ってたのに。 一方的にとはいえ会話して疲れてきたのか、 段々との手つきが覚束なくなってきた。 「僕ね……同い年の友達がいないんだ…だから君とは友達になりたいよ………」 もうとろとろと瞼は半分閉じてきていた。 の手から力が抜けていく。 「友達には…ちゃんと、 名前、 上げなきゃだ…よ、 ね…………」 ポトリと腕から力が抜けて、 規則正しい寝息が聞こえ始めた。 あどけない寝顔に愛する弟たちを思い出して寂寥感を覚えた。 そして同時にひどく愛しく思う。 を起こさないように慎重に身を起こし、 ずり下がった布団に牙を立てて肩の上まで引っ張り上げる。 「ミャウ……(ふぅ……)」 猫の身には結構な重労働だ。 必要とする力の問題ではなく、 物理的な大きさの問題で。 蟻が一匹で蝶の羽根を運ぶようなものだ。 持ちにくいものを持つのは腕力に関係なく体力と神経を消耗する。 (この身体は制限が多すぎる……) そもそも何で俺はこの姿になったのだろう。 夢だと思うにはの家族は暖かすぎた。 そもそも記憶の反映である夢に、 全く見た覚えのない風土や文化が出てくることがおかしい。 (星の声が聞こえないのは結構イタいな、 情報が手に入らない……) 記憶を探ってもある場所でぷっつりと途切れていて、 そしたらいつの間にか猫の姿で草原で寝ていた。 前触れも何も無かったのだ。 少なくとも向こう(FFZ)の世界は日常を刻んでいた。 ではこちらの世界に問題があるんだろう。 こちらに来て変化したことと言えば…… (星の声が聞こえない、 猫になった、 あとは……この左手の紋様だ。) この模様はいろいろとおかしい。 テオに抱き上げられたときも奇妙に熱く疼いていた。 最初はただの模様だと思っていたけれど。 これは意図的な紋様を描いているから。 なにより強い力を感じる。 ウェポンに匹敵する、 星を支える強大な力。 草原で感じたものにごくごく近いその波動。 朧気なその感覚を捉えようと、 紋様をじっと見つめる。 (…何かの花と、 ……自分の尾をくわえた、 蛇……?) 次の瞬間、 俺は身を翻した。 いつの間にか部屋の中に人の気配が増えていたのだ。 (どうやって………っ!) 気付けなかった、 油断し過ぎだ。 思考に沈み過ぎた自身の迂闊さに毒づきながら、 背後の人物に臨戦体制を取る。 臨戦とはいっても、 猫の身でどれだけ戦えるかは分からないが、 元々戦いを職に生きてきたのだ。 日々追跡者を警戒し、 回し者に神経を尖らせ、 仇成すものたちを殺して生きてきた。 気配にはこの上なく過敏でなければならなかったのに。 少なくとも家人が起きてくるまでくらいは時間を稼がなければならない。 自分の後ろには自分を拾ってくれた少年が眠っているのだから。 手を出させるものか! 牙を剥き、 威嚇に低くシャーッという猫特有の音を立てる。 気配は一つ。 ベッドのある対角の隅に黙然と立つ人影。 瞳孔が収縮する。 暗闇でもそのモノの影まで捉らえられる魔晄の瞳は、 それがフードを被った不思議な衣装の、 眼を閉じた女性であることを見せてくれた。 暗殺者の気配はしない。 殺気を感じない。 俺は自分の感覚を信じている。 経験から来る確信だ。 「落ち着いて下さい、 敵意はありません。 ――――はじめまして、 私はレックナート。 バランスの執行者とも呼ばれています。」 この場合、 自己紹介されてるのって俺だよね。 はすやすやと眠ってるし。 何でこの人は猫に真面目に名乗ってんの? 「なー…?」 「…言葉が分かりませんね。 貴方は本来、 猫ではないのでしょう?」 ぴくりと反応する。 このレックナートとやらは俺がここにこうしていることの理由を知っている。 「教えて上げましょう。 貴方と、 貴方の紋章について。」 紋章?紋章ってこの模様のことか?教えに来るくらい重要なものなのか。 訝し気なのが雰囲気で伝わったのだろう、 レックナートはこちらに手を差し延べてきた。 抑揚に乏しい声が俺を誘う。 「しばし私の住む塔へ。 朝にはお返し致します。」 眼を細めてその手を見つめた。 一言で言えば、 激しく胡散臭い。 不振な格好で、 真夜中、 人ン家に、 ソルジャーの俺に気配を悟らせず、 不法侵入。 四つ目以外は犯罪者に限りなく近い、 と思う。 正直なとこ、 着いて行きたくはない。 だが………。 床にトンと降り立ち、 また一飛びでレックナートの肩に乗った。 信用したわけではないが、 虎穴に入らずんば虎児を得ず、 だ。 ここにセフィロスがいればきっと「いい加減、 慎重に動くことを覚えろ!」、 クラウドがいたら「、 いつもいつも何やってるんだよ…。」、 ザックスがいたら…………きっとあいつは俺とおんなじことすんだろうな、 うん。 レノだったら、 たぶんだけど、 何にも言わずに一緒に来てくれると思う。 別に意見が同じなわけじゃなくて、 何かあったときのために。 傍にいようとするだろうな。 内心はセフィと同意見だろうケド。 でもさ、 石橋を叩いて渡ろうにも、 杖も向こう岸も、 というか橋すら無いんだゾ?どうしようもないじゃん。 …………知られた時が怖いな。 謝ったら許してくれる………かナァ…。 ++あとがき++ レックナートさん出てきました。 |