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「坊ちゃんっ!!どうしてこんな遅くまで!グレミオは、 グレミオは心配で……!」 扉を開けるなりすっ転ぶような勢いで縋り付いてきた金髪の男性に驚いて思わずびくっとしてしまった。 な、 なんだか凄い心配の仕方だな。 俺が身体を震わせたのに気が付いたのか、 少年の手が宥めるように背を滑る。 にしてもグレミオって名前、 聞いたことあるような気がするんだよなぁ。 「ごめんねグレミオ。 父さんは?」 さっくり流したな少年。 なかなか侮れない……。 グレミオとかいう人もあっさり話しを反らされるなよ! 「えっ、 テオ様はもうお帰りになられてますが、 坊ちゃん何かあったんですか?」 「うん、 ちょっとね。 この子拾っちゃってさ。」 具合が悪そうなんだ、 と示された猫。 つまり俺。 「心配で付き添ってたら遅くなっちゃったんだよね。」 おい少年、 心配してくれるのは嬉しいけど言い訳に使うのはやめようね……。 「坊ちゃん……っ!なんとお優しいっ…!!」 「ナァ〜……(騙されるなよ…)」 「わゎっ、 なんだかぐったりしてますね。」 「首輪もしてないから野良だと思うんだけど、 ちょっと気になって。 すごい綺麗な黒猫だし。」 ぐったりしてるのは力が抜けたせいだよっ!それにしても俺は黒猫だったのか、 不吉だ。 その後、 少年の父であるテオ=マクドール、 一緒に住んでいるらしい金髪の女性・クレオ、 黒髪の男・バーンに対面した。 「おかえりなさい、 様。」 「おぉ、 帰ったのか。 ん?その猫はどうした?」 これまたでかい人だ。 見た目だけじゃない、 中身が大きい。 少年――――と同じ褐色の瞳は強く、 剛い。 は、 父親の良いところを受け継いだみたいだ。 そしてテオに抱き上げられた。 その目を覗き込んだ俺は凄まじい衝撃を受けた。 一瞬、 瞼の裏で白いスパークが弾ける。 焦げそうに熱いモノが皮膚の下で暴れまわって脳みそがガンガンと揺れ、 眩暈がして、 そして左手から漠然としたイメージが流れ込んできた。 ―――――――近しい者の手で逝く。 「………………ッッ!!!」 声にならない悲鳴をあげて、 俺は身を強張らせた。 そのイメージの惨さが物理的に俺の神経にダメージを与えているようだ。 身体は恐慌状態に動けないのに、 頭のどこかは妙に冷静にものを考えていた。 今のイメージはなんだ?予知にしては曖昧すぎる。 警告か?いや、 そんな生易しいものじゃなかった。 あれは予告だ。 確固たる、 来るべき未来。 この男は、 自分に最も近い者の手で逝き路を辿るだろう。 だが何故、 何故それが俺に見えた? 俺がソレを見る意味はなんだ? 流れ込んでくるときは妙に左手が熱かったが……。 「……何かその猫、 固まってないですか?」 「父さんの顔が怖かったんじゃないの?」 「ッ!いや、 だが、 しかしそうかもしれんな……もともと動物に好かれる性質ではないし…。」 の言葉を真に受けて心なしかしょんぼりとするテオ。 ……真面目な人をからかうもんじゃないよ。 しかもこの人は父親だろうが! 「ナアァーーン」 なんだかかわいそうになったので、 嫌いじゃないという意思表示のために、 テオの手に頭を擦り付けてごろニャンと鳴く大サービス。 ふふふ、 可愛かろう! 「……可愛いな。」 「ずるいよ父さん!僕だってそんなのされてないのにっ!」 「なんだか人に馴れてるみたいですねぇ、 テオ様。」 「ねぇ父さん、 この猫飼ってもいいだろ?」 「…ちゃんと自分で世話できるか?」 「大丈夫!ちゃんとできるよ!」 テオ、 子供はみんなそう言うんだよ…。 |