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※ 第二章4話の番外編です。そちらから読まれるのをお勧めします。 金髪のボウヤを片手に何気なく入ったそこは、ブルジョア御用達の超が付く有名ブランド店だったらしい。 あとからレノに聞いたのだが。 そこのオーナー兼筆頭デザイナーがを見て「私の女神だ!」と叫んで物凄い勢いで手を握ってきて。 女に間違われたと腹を立てたに殴り飛ばされるという一幕があった。 言ったのが女ならばも言葉で諌めたのだろうが。 相手は彼だったので容赦加減は死なない程度にしかしなかった。 ……………はずなのだが。 「じょ、女性じゃないのか!?いやそれでもいい!!どうか私の専属モデルにーーーー!!」 …………丈夫だな。犬なら軽く殴り殺せる気持ちで殴ったのに。 風が撫でるほど微かなの呟きを耳元で聞いてしまった、いわくのボウヤ(名前聞いてない)、必死に聞こえないふり。 店長の熱心さ(しつこさ)にちょっぴり苛々し始めたは、ボウヤの服と靴を買ってさっさと店を出ることにした。 脚に縋り付いてくる、パリッとしたスーツを着たでかい男を踏み付けて。傍から見れば、女王様と下僕プレイ。 超絶美形の黒髪長髪女王様に、ジェントルな感じのスーツの下僕。 倒錯的といえるかどうかは不明だが、美しいお客様に店員は目が釘付けになっている。その足の下で呻いている上司は無視。 グェとか聞こえたけれど、ボウヤは必死に聞いてない振りをした。踏まれてる人が何だかちょっと嬉しそうに見えるのが怖い。 自分が知らない世界が怖い。 「(僕は何も見てない、聞いてない……!)」 「なぁ、ボウヤはどれがいい?」 「っえ……な、なに…………?」 「服だよ。選ばないなら俺が決めちまうぞ。」 脇で女性店員が「これが良いかと」とか「こちらはどうですか」など薦めてくるのを、やんわりと、それでも普段よりも格段に素っ気なくあしらって、早くこの店から出たいらしく、は子供サイズのマネキンが着ていた白い上着に、白の模様が入った焦げ茶のマフラー、同じく焦げ茶の革の靴。 そして茶とベージュのストライプのハイソックスを選び出した。 それらは店にある子供用品の中では一級品のものばかりで。 の腕の中の子供にはよく似合っていた。 あわよくばとお近づきになろうとあれこれ薦めていた店員は、恥ずかしさに頬を染めてスゴスゴと下がる。 レジでの財布から取り出されたカードに店員はひっくり返る。 いや、ひっくり返ろうとしたが背後の壁に頭をぶつける結果に終わった。 「こ、これは・・ぶ、ブブ、ブブブブッ、ブラック、カード・・・!」 金持ちの中でも更に限られた者しか持てないブラックカード。 一体この青年は何者なのか。 我らがオーナーを踏み付け、買うものはセンスの良い一級品。 なぜか子供を抱きかかえて支払いはブラックカードの、尋常でなく美しい若者は。 「いくら?」 「はっはい!34700ギルです!!」 「ん、じゃぁ一括で。」 「はいっ!ありがとうございます!」 こっそりとカードの名前を見た。=さんかぁ。綺麗な人は名前まで綺麗なんだなぁ…。 少しでも自分に印象を持ってもらいたくて、元気いっぱいに挨拶をする。 「様、お買い上げありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!」 「あ、あぁ。ありがとう。(いい笑顔だな。教育が行き届いてる。)」 その後、復活した店長はミッドガル中で『=』という青年を探し回ったそうだが、それはまた別の話で。 ++おまけ++ 「はっ、私の女神はどこにっ!?どこに行った!?」 「あ、あの……店長が気絶してる間に出て行かれましたけど………。」 「そ、そんな………。そっそうだ!名前!!名前は聞いたか!!??」 「はっはい!=様と仰っておりましたが。」 「………あぁなんて美しい名前だ…!濡れたような烏羽玉の黒髪に星空を写したかの如く煌めく漆黒の瞳………涼やかに冴えた目許に、子供に与える慈愛の微笑みは正にMy・Venus!!My・Goddess!!!」 「て、店長!?」 「私は決めたぞ!!次のショーのコンセプトは『GODDESS』!彼が主役だ!!」 「そんなっ!もうモデルは決まっているんですよ!?」 「そのような有象無象など知るものか!捜せ!彼もきっと協力してくれるっ!!」 踏まれてたジャンッ!!!という店員とデザイナーたちの心からの声は、かの青年を想う恍惚としたオーナーの耳には届くはずも無く。 名前だけを手に、ショーに間に合わせようと彼らは必死に捜索したという。 『おそらく超金持ちの良家』、『金髪の弟がいる』というのを手掛かりに。 ++あとがき++ 第二章4話の番外編です。 「が入ったときの店内の様子が気になる」とのお声がありましたので書いてみました。 これほんとは、本編から削ったものなんですよね、長すぎて。 ちなみに私設定で、1ギル=10円です。 |