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二人でサンドイッチをお腹いっぱいに食べて、食後にルーファウスはミルクレープを、俺はザッハトルテを食べた。 うん、なかなかイケル。今度はレノを連れてこよう。 ウェイトレスさんもなかなかサービスが行き届いてるし、レノもきっと気に入る。 紅茶のカップ置く度に「おかわりはいかがですか?」なんて素晴らしい気の使い方だと思わないか?というかココっておかわり自由なんだ。誰もおかわりしてないから気付かなかったよラッキー。 本当にサービス速いんだ、このテーブル付きなの?って聞きたいくらいに。 あぁもしかしたら子供好きなのかもしれねぇな。 きっと年頃の男は苦手なんだろうな、可哀相な経験でもあったのか………。 声をかけてくる度に顔赤くしてたし、俺が声をかけたら音速で顔逸らすし。 ルーファウスも不思議そうに首を傾げてた。ヤバイ可愛いです。思わず抱き着いたら周りから物凄い痛い視線をいただきました。 わかりましたよ、離れますよ。 さてと、お腹も膨れたことだし、そろそろルーファウスを帰らせるか。捜してやがるだろうしな。 「ルー、そろそろ帰るぞ。どこに送ればいい?」 口の端に付いたクリームとココアをおしぼりで拭きながら問うと、恥ずかしそうにしながらもちゃんと答えた。 最初に比べてかなり良くなった空気に、唇が綻ぶのは止められなかった。子供というのはお腹が膨れれば大体に於いて気分は浮上するもんだ。 「いつもは本社からツォンと帰ってる。」 「じゃあ本社のあるビルまで送ればいいか。」 精算のためにウェイトレスを呼んだらものすっごい勢いで来た。飛ぶようにって形容詞を付けられるくらいに。よっぽど子供好きなんだなぁ……。 「美味しかったよ、ごちそうさま。」 なかなか可愛い女の子だったので好印象を付けとこうとせめて笑ってみたら、卒倒されてしまった。 ……いいよもう。いつもの事だから気にしないよ。 床に激突する寸前に抱き留めて、それまで自分が使っていた椅子に座らせた。ついでに未使用のおしぼりをおでこの上に乗せる。 この作業に手慣れた自分が少し哀しい…。 「さ、帰ろうか。」 「あ、あの、、あの人ほっといてもいいのか?」 「あぁ、店の人もいるから大丈夫だろ。」 ルーファウスの手を引いて店を出た。そのまましばらく通りを歩く。 三時半か、おやつも食べたしちょうどよかった。 あ、そういやルーファウスと約束してたんだっけ。だからさっきから不服そうにチラチラこっちを見てんのか。 立ち止まってしゃがみ、ルーファウスに向かって両腕を広げる。努めて柔らかく囁きかけた。 「ルーファウス、おいで。」 途端にパアァァッと顔を輝かせて首筋に小さい手を回してくる。 その身体を抱き上げながら、しがみついてくる腕の強さに苦笑した。 必死に、縋り付くような強さなのだ。 「ルーファウス?そんなしなくても落とさないよ?」 「あっごめんっ、く、苦しかったか?こういうの慣れてなくて…」 「苦しくはないから大丈夫だよ。それより、抱っこ苦手なのか?」 それなら降ろすけどと囁くと、ルーファウスは俺の肩に顔を伏せた。 「ううん、……こういうの初めてだけど、なんだか…すごく、きもちい…………」 ちいさな身体から力が抜け、首に当たる呼吸が穏やかになって、直に寝息を立て始めた。それでも首に回された手からは力は抜けなかった。 ……相当疲れてたんだろうな。 今日は誘拐なんて肉体的にも精神的にもつらい経験をしたんだ。子供には辛かっただろうに……。 片手でルーファウスを抱きながら、器用にコートを脱ぐ。 体温の高い身体が冷めないように、そっとルーファウスの身体を包みこんだ。 バイクは本格的に却下だな。せっかく寝付けたのにわざわざ起こすことはない。 襲ってくる奴らも放って置くか。子供が寝てる側で血を流すことはない。 そして俺は路地裏やビルの上などを駆使して神羅ビルまでをひたすら歩いた。 もしかしたら、予感していたのかも知れない。 今日、本社は大騒ぎだった。バカ社長の息子が攫われたのだ。 だがそれがどうした、いつもの事だろうが!! こっちはタヌキとガハハとキャハハと会議室に押し込められて5時間も愚痴を聞いていたんだ。 統括の中で唯一マトモなリーブがいた事と宝条が出席していなかったのが救いだ。どちらかが欠けていたらオレはきっと一時間を待たずしてキレていただろう。 おかげで調べようと思っていたこともストップせざるを得なくなったし、少しくらい休ませろ!静かに寝かせろ!! とにかく関わりたくなくてわざと執務室に篭って回線を切ったり、誰も来ないような屋上に逃げ込んだりしたけれど、結局タヌキのパシリの一般兵に見つかってしまった。発信機でも付けてるのかと言いたい。 …………有り得なくも無い、今度徹底的に調べてみよう。 「セフィロス、ルーファウスを捜してこい。」 「…何故オレが?それはタークスの管轄だろう。」 「人手が足りん。ツォンも出張中だ、慌ててこちらへ向かっているようだがな。」 ……肝心なときに役に立たんな。そんなことで次期主任が務まるのか?それでも神羅の闇の部分とか呼ばれてていいのか? まぁあの子供とは幾度か話す機会もあったし、見捨てようとは思わんが。 重い溜息をついてプレジデントに目を向けた。 ……本当に不思議だ。何度見てもデブの腐った古だぬきにしか見えん。どうやったらこのタヌキからあのような子供が生まれるのか。よほど母方の遺伝子が優秀だったのだろう。 (少し骨格が似ているか…?) それにしても、オレに捜索を頼むということは、それなりに息子を心配しているのだろうか。 「おそらく反神羅派の連中だろう。さっさと見つけんと何らかの要求がくるだろうからな、まったく……」 「…つまり世論がうるさいと?」 「息子を見捨てたとなったらさすがに風当たりが強くなる。それでなくとも今はウータイとの問題があるというのに………。」 世間体の問題か。 あの子供も気の毒なことだ、実の父親がこのような下衆とはな。 これなら誰もいないオレのほうがまだマシかもしれん。 いや、このような肉親でもいたほうが良いのだろうか…。 「……………」 「既に壱番街と弐番街以外は捜索をさせている。お前にはどちらに行ってもらおうか……」 壱番街か弐番街か………壱番街は金持ちが集まるし治安はかなり良い筈だ。 誘拐した連中が身を隠しやすいのは弐番のほうだろう。普通の頭で考えれば、だが。ツォンが不在の合間に誘拐されたのがどうも気にかかる……。 「…オレは壱番街に行こう。」 何となく決めた。 ++あとがき++ えぇと、次回会えそうな予感? |