「あー………、やっと一息つけるな。」

「まったくだぞ、と。人をバケモノみたいにじろじろ見やがって。」





とレノは同じクラス、1−Aになった。このクラスはA〜Gまでの7クラスのうち、入学試験の成績上位から三十人をとった特進クラスだ。


そしてこの2人は目立った。とにかく目立っていた。




一見してだらけた不良の顔の整った派手な少年。
しかし人を見ることに慣れた者ならその眼光が鋭く、常に周りを観察しているのが分かるだろう。
澄んだ湖水色の瞳は、茫洋と焦点を隣の男に当てながらも広い視野で辺りを見ている。




そして柔らかそうな黒髪を長く伸ばした美貌の青年。
サングラスに隠れて目を見ることは出来ないが、その整った鼻筋と唇だけでも相当な美しさであることが知れる。
こちらもその整った顔にばかり意識が向きがちだが、均整の取れた身体は細身だが動くたびにしなやかな筋肉を見せ、その白い優雅な手には剣だこが出来上がり、彼が一流の剣士であることを物語っている。







単体(シングル)でも目立つ二人がなんの因果か一緒に(ペアで)行動しているのだ。
それも、クラスに入ってくる前から。


周りの妙に緊張した雰囲気など歯牙にもかけずにちゃらけた会話を交わしている。



しかもこのクラスの担当教官から発表されたトップツー、すなわち今期のトップツーがこの2人組みというわけだ。
ちなみにトップツーは同点首位の満点だった。

教官に名前を呼ばれて立ち上がった二人は笑って顔を見合わせて、周りはただただざわめくことしか出来なかった。





もはや腫れ物扱いで、話しかける度胸のあるやつは一人もいない。
いや、全員がこの目立つ2人組みにはお近づきになりたくて、特に綺麗な青年に心引かれた男も多く、ちらちらと羨望の視線を送ってくる。


「ア〜、くそやっぱり見られてやがる。」

動物園じゃねぇんだぞ……、と向けられる視線に耐えかねて毒づくレノ。自分が見られるだけならばそんなに気にはならないのだ。レノはその年齢の少年にしては自分の容姿の程度を把握していたし、それが他人に与える印象も理解していた。


曰く―――――――――――女に関しては遊びにちょうど良く、男に関しては軽く遊ぶのにちょうどいい。

今までもそう思った奴らが随分と寄ってきたし、レノ自身もそういう浅い関係を心地よく感じていた。人とつるむのはめんどくさい。母親の浮気で産まれて、預けられた先でもろくな生活はしていなかった。カームの裏町で育って、10にならないときから




だがは違う。

と知り合って、まずその顔の良さにどぎまぎしたけど、お堅い奴じゃないって分かったし。
それだけならこんなに気にならないだろうけど、ただ軽いってだけじゃなくて、なんというか、一緒にいて楽なのだ。

威圧感を覚えるほどの美貌にどういうことだと言われるだろうが、そうなのだから仕方がない。
人を殺すとこも見たけど、話してて別にサイコなところも感じない。
成績だって、同じレベルでしゃべれる奴初めてだし。
どこか弱さが見えるようなところまで。



それには鈍い。
いや鋭いのだが、自分の見た目の価値についてあまりにも理解が乏しいように思う。

その緩やかに波打つ黒髪も、朱色の口唇も、白い肌も、男ならば一度は触れてみたいと思わせるような極上品であるのに。

ギンギンに突き刺さってくる熱い視線も、きっと「喧嘩売られてる」くらいに思っているのだろう。

年上なのにどこかほっとけない気がする。
保護者なんて絶対的に柄じゃねぇし、そんなめんどくさそうなこと、いつもだったら絶対にしないのに。

内心だけで苦笑して、レノはご愁傷様と心の中で手を合わせながら、この希少な生き物の隣にいることにちょっとした優越感を感じていた。







そして当然のごとく2人は寮で同じ部屋になり、痛い視線(熱い視線)から解放されてやっと一息ついたのだ。
































「さて、話してもらうぞ、と。」


狭い部屋の両端にあるベッドに腰掛けて向かい合う。とはいっても実際の2人の距離は1メートルもない。


「あぁ……うん、話すよ。でも言っておくことがある。」

「なんだ?」


はレノの目を強く見据えて、低く言った。俺の目から何かを感じ取るのように。


「絶対に人に話なよ。たとえ神羅の社長にでも。もしこれから話すことを神羅の人間が聞いてくるようなことがあったらシラを切れ。俺とはそんな仲では無かったと言え。最悪殺されるぞ。」



その脅しにも似た警告に、思わずコクリと喉が鳴った。


「あ?………そんなにやばい話なのか?」

「間違えた。最悪は殺される、じゃなくて生きたままマッドな方々に実験材料にされることだな。やべーぞアレ。ちょっとどころじゃなくイカレてるし。」

「そ、そうか、と……。」


どこか遠い目をする。そのマッドな奴らに嫌な思い出でもあるのだろうか。
なにやら思ったよりも重大そうな感じで、言葉に詰まる。



つい昨日まで普通の生活(と言ってもスラムでもさらに裏側)を送っていて、いきなり命に関わる選択をさせられる。

正直、迷う。の話を聞くべきか、無かったことにするべきなのか。



俺はただのスラム上がりのガキだ。
何かを成し遂げようとかリッパなモクヒョウとか無いし、ただ故郷に居たくなくてカームを出て、なんとなくミッドガルに流れて、軍に入って適当に神羅に入社できればいいなとか。


あの灰色の街を出て、ネオンで光り輝いた街に来れば、もしかしたら何か変わるかとか。かなり適当な感じに。

うわ、ほんとにすごく適当だな、と。現在進行形で。



ま、結局ここだって俺にとっちゃ灰色だったんだけどな、っと。

あの時だって、スラムの奥にあるあの空き地だって、特別な執着があったわけじゃぁない。ほんの少し、灰色のスモッグの間から覗く空の色が妙に目に焼きついてたから。

そこでに会ったんだけど。いや、ありゃ会ったっつーよか覗いて見つかったって感じだったな、と。


俺だって伊達にスラムの裏側で生きてきたわけじゃない。
人が殺す場面も、殺される場面も見たことはある。
それは当然のことだった。俺はまだコロシをしたことは無かったけど、生きるためなら仕方ねぇだろ?

でも。


あんなに無機質なコロシは初めて見た。淡々と、作業みたいに処理していく。そんな感じだ。


あの時、俺は確かに恐怖を感じたけど、なんに対してだったのか。

俺が知ってる殺しってのは、もっと生々しいモンだ。
傷からは血がどくどく流れて、打ち捨てられた死体は目を閉じられることも無く、濁った眼球を晒してて、時間が立てば腐臭がしてきて蛆が肉の間から顔を出す。
死体が回収された後も、流れた血の痕は確かにそこにナマモノが在ったということを知らしめる。

でもあのコロシはそんなんじゃなかった。なんにも残ってねぇ。血も、腐臭も、そこに人間がいた痕跡は残らない。
俺の恐怖の根源はソレかもしれない。自分が存在していた跡がなにも無い、あらゆる生物が持ってる自己保存本能の上げた悲鳴(ケイコク)。



「あの時、神羅兵を殺してたことも関係すんのか、と。」


黒い目がきょとりと瞬く。唐突過ぎて思い当たらなかったみたいだ。すぐに思い出したみたいだけど。


「いや、ありゃ別件だ。」


直接は関係ねぇんだな、と。あぁもうそんな不安そうな目すんなよ頼むから。結構それにゃヨエーみたいなんだからよ、と。





それも含めて、とは言った。



「もしお前から情報がリークするようなことがあったら、きっと俺はお前を殺す。」



口を閉じて考え込む。もし俺がの話を聞いて、いったい俺に何が出来るのだろうかと。

どんなに粋がったとしても、自分は15のガキでしかない。こいつがまじめな顔で話すんだから、きっとほんとにやばい話なんだろう。




たぶん、は協力者が欲しいんだ。

俺を信じて、俺を協力者に選んだ。俺が裏切れば即座にこいつは破滅するだろう。




昨日初めて姿を見て、今日初めて話をした。

出会いなんて殺人現場で。バイクに引っ張りまわされて死ぬかと思った。


けど、どうしようもなく惹かれてる。


見た目の綺麗さとかじゃなくて、雰囲気だ。飄々としているくせに、纏う雰囲気は王者のもので。

でも時々抜けてるとことか可愛いし。でも男らしくてカッコイイ。
無表情で無感情に人を殺してたくせに、次の日には寝坊した俺をバイクで拾ってくれて。



このかなり複雑な精神構造をした男。

とにかくこいつと対等になりたいんだ。の隣で、一緒の視点でものが見たい。



つまり俺はに惚れちまってるんだ。大好きだ。べた惚れだ。


想いを遂げるためには対等にならなくては。




……ちょっと怖いけどな、と。





























「あのな、は協力者が欲しいのか?」


は戸惑いながら頷いた。こいつが今考えてることなんてすぐ分かる。

こいつは既に俺のことを親友だと思ってるんだろう。

だってただ協力者が欲しいだけなら理由を話さずに取引でも持ちかければいいんだ。金をやるとか、課題をしてやるとか(ちょっと情けないが)。




でも理由を話した上で協力して欲しいと、こいつは無意識に頼んでるんだ。


俺に選択を委ねてる。それは俺が望む対等な関係だろう。





でもこいつは俺に被害が及ぶことを恐れてる。
親友なんておこがましいと思ってる。
だからわざわざ協力者なんて他人行儀な関係で済まそうとしてる。

これも無意識だろうがな。





「俺はな、お前と対等な関係になりたいんだ。協力者なんて他人行儀な関係は死んでもごめんだぞ、と。」


は俺が何を言いたいのか分からなくて不安そうだ。まったく、頭はいいくせに機微には疎い奴だ。



「俺はな、お前の親友で相棒になりたいんだぞ、と。」



(出来れば、人生のパートナーにも。)







































レノが俺のことを親友だと、相棒になりたいと言ってくれた。


親友と相棒が出来て、可愛い弟にも会えて。今日はなんていい日だ。

不安が二つも解消できた。


「俺が情報をリークするようなことがあったら、は俺を殺すか。」

「そうだな。頼むからしてくれるなよ?俺はレノを殺したくない。」

「わぁーってるぞ、と。おりゃまだ死ぬのも身体をいじられんのもごめんだからな、と。」



すっかりいつものレノだ。肩をすくめて飄々としたレノ。ちょっと意地悪ぃ笑みを浮かべた余裕の表情。まさにゲーム中の、タークスのレノだ。



「なぁレノ。入学式でさ、お前、俺とセフィロスを見てすぐに兄弟だって分かっただろ?」


照れくさくて頬をかいた。目線が下を向く。


「俺さ、実は自信なくてさ。実はセフィロスのこと、今日初めて見たんだ。兄弟だって知ってたんだけど、やっぱり不安でさ。」


顔に熱が集まっていくのが分かる。レノは良く真顔で言えたな。


「レノが俺たちのこと兄弟かって聞いてくれたとき、すっごく安心したんだよ。自信がついた。ほんとはセフィロスに会わないで、遠くから見守るだけにしようと思ってたんだけど。」

「キョーダイだろ。遠慮するこたねぇぞ、と。」

「あぁ、機会を見つけて会うことにするよ。まあそれでな、あの時既に俺の中じゃぁお前は俺の生涯の親友に決定されてんだよ。たぶん一生かけて迷惑かけるだろうけど、もう逃げられないからな。お前も親友宣言したんだから。」


レノは薄く笑って、軽く頷いてくれた。
あんまり気負ってないところが飄々としたレノらしいよな。FF7の中でも、この余裕っぷりには惚れ惚れしたし。(注:レノは相当悩んだ。)



「望むところだぞ。どっちが死ぬときまで多く迷惑かけるか勝負だぞ、と。」

「まっ、とりあえずは俺が先に迷惑をかけるぜ。今から俺の暴露大会だ。死ぬまで付きまとうから覚悟して静聴しやがれよ、相棒。」























「とりあえず俺は人間じゃない、のかな?母親の名前はジェノバで、父親の名前は知らない。」

「……しょっぱなからアバウトだな。」

「うるさい。そんで簡単に言ったら俺の母親………というか、卵子のモトは神羅の研究者が発見した2000年前に空から降ってきたバケモノで、精子はセトラの冷凍精子。」


自分で言ってても結構、かなりヤな感じの出生だよなぁって思う。
それでも俺は、15年間あちら(・・・)で生きてたつもりだし。自分に関してはそこまで怒っていない。そもそも、俺はあんまり怒りの感情とかには疎いんだ。表面的なものしか理解が出来ないんだよ。
むしろ、ガスト=ファレミスと宝条には苦笑が出てくる。こんな壮大な勘違いを、よくもやってくれたなと。



レノの掠れた、今は低く押し殺された声が鼓膜を打った。



「……バケモノとかセトラとかって、なんなんだ?、と。」

あれ。レノ、何だか怒ってる?やっぱ気持ち悪いよな、こんな出生のイキモノ。

「え、えぇと、セトラってのは大昔のこの星の主な人種でな。古代種ってやつで。魔力が高くて、星と会話できる種族だったんだと。だからな、つまり、」

「……んだよそりゃ。」


遮られた。怒りに怒ってるらしく、レノの目の色は僅かに色味が増してアイスブルーに近い。ただし、それは氷ではなく炎の滾っている様を思い出させる。
本人でなく、他人のほうが怒りを感じてくれてることに、さらに苦笑が深くなった。


「なに笑ってんだよ、と。つまり、お前は、その……」


優しいなレノ。俺に気を使ってくれてるんだろ?でもそんなこと、今更だよ。もう慣れた。俺はバケモノの息子だってこと。


「俺はね、神羅の実験サンプルなんだよ。それも、かなりレアな。」

「んな言い方やめろよ!何で、自分のことだろっ!?」

「ごめんな?こんなの気持ちわりぃだろ?母親(ジェノバ)なんて人の形してねぇんだぜ。」

「ちげぇよ!んなこと言ってんじゃねぇ!!だからどーだっていーんだよ!てめぇは腹立たねぇのかよ、と!」

「ナニに?」

分からない。なんでレノはこんなに怒ってるんだ?俺が何で怒ってないのかって?

「俺がサンプルだってのは俺自身のことなんだからレノが怒ることネェよ。」

「………っ!それでも俺はムカつくんだよ!!」

「そう、それが正しい。」

「……………………………ハァッ?」


いきなりの予想外の言葉に、レノの脳みそは数秒間、働きを止めた。

奇想天外とはこのことだ。むしろビックリ箱だ。何が出てくるのか予想も付かず、そしてそれには必ずオドロキが待っている。
何を以ってが正しいというのかなんぞ、俺の頭ではさっぱりだ。
あぁ、測定不可の野郎の考えなんて矮小な脳みそ(IQ150)の俺に分かるわけねぇだろ!!っと!!


それでも毒気を抜かれたのは確かで、優秀でもともと冷えた脳みそは常態に戻り始める。



「だからな、俺が自分のこと知ったのは5年前なんだよ。それで逃げ出した。その時はすばらしく怒り満杯だったよ。研究所の警備員は全員殺したしな。もう今じゃ、ムカついてるってだけなんだよ。」

「…5年前っつーと、が13歳のときか。」

「フフッ、15歳だよ。」

「はぁ?それじゃ計算が合わねぇだろ」


理性を取り戻した頭は冷静に動いた。

は18歳だろ?5年前は13歳だろ?でもが言うには当時15歳、現在は二十歳ってことになるが…………


「……あぁ、なるほどな、と。」


当時15歳だってのは神羅の研究者なら当然知ってるはずで、5年経って当然ながら今は20歳だ。ならその年齢を重点的に探すはずで。




レノが理由に達したのが表情で分かったのだろう。は嬉しそうに笑った。やっぱりレノは頭がいい。そんな感じに。


「そうそう、俺ハタチね。永遠の18歳だけど。」

意味分かんねぇぞ、と。

「この場面で冗談はくなよ、と。それにそんな小細工はいつまでも通用しねぇぞ、と。」

冗談じゃないんだけどなぁ。と困ったようには呟く。

「まぁ……神羅のナカに入ったのはミノガクレのためだしなぁ。」

「蓑隠れ?」

「あとセフィロスのそばにいたかったし。あぁ、セフィロスも俺とおんなじで神羅の研究室で産まれたんだよ。若干、……作られ方?は違うけど。」

ッ!」

「怒んなよ。それ以外言い方が見つかんねぇ。別に自分を卑下してるわけじゃねぇから。なっ?ありがとな。」


よしよしと頭を撫でてきた。その子ども扱いに腹が立って払いのけようとしたけど、の顔が本当に嬉しそうに綻んでるから、つい見惚れてタイミングを逃してしまった。その目はとても柔らかに細められてて、陳腐な言葉だが、輝いてるみたいに際立っていて。

本当にが喜んで、感謝してることが分かってしまったから、それ以上は何も言えなかった。



「俺のほうが作られるのは5年ほど早かったけど、目覚めるのは遅くて5年前まではポットの中で魔晄に浸されてた。俺とセフィロスでは造った研究者が違ってな。 これがまた複雑で………俺を作った研究者がセフィロスの精子提供者なんだよ。これがまた嫌な男でな。ソイツが俺に名前をつけやがった。聞くか?」

「…………教えといてくれ。」

「セラフ。なんでもえらい天使様の名前だとさ。」

「メタトロンだな。王者であり、すべての絶対である天使だぞ、と。」

「知らねぇよ。俺の名前はだ。」

「その名前はどこからつけたんだ?」

「そうそう!聞いてくれよ、これが一番面白いと思うぜ。俺な、実はハタチだっつったろ?見つからないように年ごまかしてんだけど。で、5年前までポットの中だったって言ったろ?俺な、15年の間は夢の中で違う世界に行ってたっぽいんだ。俺はそこで生まれて、育った。ジェノヴァとか古代種とかの知識はアッチで個人的に調べたりしてたから知ってた。」


はぐっと拳を握る。



「…………5年前、いきなり目が覚めた。そこで身体が動くようになるまで待って、逃げ出した。警備員は殺して、おれの世話をしてくれてた研究員は気絶させて。 セフィロスが俺の弟だって知らされてたから、ほとぼりが冷めたら会いに行こうと思って五年間逃げ続けた。神羅兵もタークスも、俺の顔見た奴はみんな殺した。」


五年。

口にすれば短いけれど、人を殺し、身を隠して、毎日襲撃に構えながら過ごすことは俺には想像も出来なかった。


「………なんで今会いに来たんだ?」

「1年前くらいから襲撃がなくなった。だからここ最近は平穏に暮らしてたんだけど、セフィロスがソルジャーとして表舞台に出てくるって情報掴んで、分かったんだ。」

「何を?」

「神羅の奴らは俺とセフィロスを戦わせるつもりだ。ソルジャーとしての初任務ならあの子もはりきるだろうな。俺のことなんて露も知らされてないだろうし。俺がセフィを傷つけられっこないって分かってるんだよ。だから俺は神羅の懐にもぐりこんで身を潜める必要があった。もしかしたらセフィに会えるかもしれないしな。実際会えたし。レノにも出会えた。今日はいい日だとつくづく思うよ。」












「とりあえず、俺の生い立ち暴露話はこれだけだ。あぁそうだ。あの空き地での理由を話すんだったな。」

「そうだった。俺が納得できない理由だったらお前を突き出すんだったな。」


もうそんなつもりはこれっぽっちのないけど。

レノの素直じゃない言葉にがっくり来ながらも、苦笑しつつは話し始めた。


「ひでぇな…。昨日寄った店があってな、そこの女主人がいい女でさ。すっげぇいい人なんだよ。ぶっちゃけ神羅の横流し品を扱ってる店なんだけど。」


こいつ………どこまでわけあり人生を行くつもりなんだよ、と。


「そこに時々神羅兵が改めとかで来てな、その店で暴れて商品勝手に取っていったり、しかも最悪なことに女主人をレイプしてんだぜ?で、俺キレちゃって。それで昨日そいつらが―――三人組なんだけど、たまたま来たから後腐れないように殺して燃やして証拠隠滅したんだよ。ドッグタグさえ見つかんなきゃ三人分の灰なんて誰のか分かんないだろうし。」



レノは厳しい顔をしながらも心の中では納得していた。俺がの立場でも殺しはしないだろうが再起不能くらいにはしてしまいそいうだ。
股間を蹴って踏んで磨り潰してイ○ポにしてやる。





…………もう少し、自分は穏便なほうだと思っていたのだが。こんな思考が浮かぶ辺り、既に結構な影響を受けてしまっているようだ。
なんとなくの考え方に恭順してしまうのは、惚れた弱みという奴だろうか。


五年という短くはない時間を血の繋がりもない弟に会うためだけに、人を殺して生きてきたのだ。研究員は殺さなかったと言っていたし、殺すことに忌避を覚えないんじゃなくての中での優先順位が明確になっているんだろう。


その絶対のラインを引けるのは強いからか脆いからか、優しいのか残酷なのか。


俺には分からないけど、ソレが弱さでないことは間違いない。その意志の強さが、であるということだ。

は自分が人間じゃないといったがそれがどうした。


は大人で子供だ。
冷酷で、無邪気で、強引で、こっちが気を使わなくていいように優しくて、気が合って、強くて、情の深い、いい奴だ。
人の感情に疎いのも、五年間人と関わらずに生活していたなら仕方がないが、そんなところも気に入ったんだ。
だからこれから一緒にいる。




「そぉーだ。大事な話を忘れてた。」


がいきなりポンと手を打った。


「何だよ。」

「俺の目な、黒じゃないんだよ。セフィロスと同じ色。」

「あー………確か魔晄を浴びてソルジャーになったら、なんかそういう魔晄の瞳?になるんだっけか。」

「そうそう!いやーほんとレノが同室でよかったよ。部屋の中までコンタクトつけとくのはきついもんな!」

そういって右手の指を目に寄せて、ぺろりと黒のシリコンをはがし取った。

普通はありえない、薄ぼんやりとした光を放つ翡翠色の瞳が曝された。瞳孔が縦に長い獣の瞳。
若々しいの龍のような、生命力に満ちた目。
レノの薄い水色の瞳がソレをじっと見詰めて感嘆の息を吐く。


「……きれいだぞ、と。瞳孔は爬虫類みたいだな。」

「セフィとまったくお揃いなんだぜぇ。トカゲと一緒にすんな。まぁすぐにソルジャーも増えてくるだろうから、こんなの珍しくもなくなるだろうけどな。今は俺とセフィしか持ってない。」



きちんとコンタクトを殺菌処理して洗面台に置く。


「そろそろ寝よっか。」

「そうだな。明日は早いしな、と。」

「明日、朝一で制服取りに行かなきゃな。」

「朝飯の前に行くか………」





ごそごそとベッドに潜り込んだ。気付けば消灯時間が程近い時刻になっている。













あーもう!レノはホントにいい奴だ。ゲームじゃ分からなかった。仲間思いだったけど少し冷たいとこもあったしな。
やっぱり将来はタークスになるのか?
俺はソルジャーになるつもりはないし、一緒にタークスになってみようかな。なんせ生涯の相棒だし。
……………なんか夫婦っぽいねぇ。








親友と相棒とマジの想い人がいっぺんにできた。まったく疲れた一日だ。
はどーでもいい奴には容赦ないけど、一度懐に入れた奴にはこれでもかというくらい情をかけるやつみたいだ。俺はその中に入ってんのか?
こいつは一般兵なんぞに納まる奴じゃねぇし、将来はソルジャーかタークスだろうな。
目的のために手段を選ばないとこはタークス向きだが。
そうだ。 揃いで刺青とかかっこいいかもしんねぇな。






















「「おやすみ。」」

またあした。