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雪が降ってて、暴風が吹いてたら、それはすなわち吹雪だ。 吹雪に効果音を付けるとしたら、俺はビュウゥゥーー!だと思ってた。 だって俺が住んでたところは積雪がどうやっても20センチを越えないところで、雪だって前述した音だったら立派に吹雪だった。 (小さい頃は遭難に憧れてたなぁ…。) なんかかっこよくねぇ? 無事生還!みたいな。 そういうのやりたくて、年下の奴らばっか集めて施設の隣の森ン中に入ってみたんだけど、どんな頑張っても遭難なんて出来なかった。 出来るわけがない。 だってその森さ、半径100メートルないんだ。チョコボの森を思い浮かべればいいかも。 子供だったからなぁ、俺。 まぁ、俺が何を言いたいのかっていうと、マジの吹雪の効果音はゴオォォ……!だということだ。すっごく重々しい、腹に響くような。 何で知ってるのかっていうと、今現在、猛吹雪による遭難中だから………。 「ふふふ…。あの頃はどんなに頑張っても遭難できなかったのになぁ…。」 足が止まって、がくりと首が落ちる。 もちろん肉体的な意味ではまだまだ余裕だ。 ソルジャーは寒暖の変化に強く、飲まず食わずでも一週間は行軍が可能なのだから。 それはも例外ではない。 だが、経験の有無はどうしようもない。 「雪山登山の経験なんてあるわけねぇだろ……」 タークスと神羅兵に追われてこの山に入ったのだ。 そうそう準備が出来るわけもない。 ロケット村にはまだ滞在する予定だったのだから。 それにいくら寒さに強いとは言っても限界はある。 雪山で通用しそうな防寒具は買えず、いつものフライトジャケットの上に頭の先から膝までをすっぽり覆うフードを被っているだけだ。 幸いだったのは履いているのが頑丈な造りの軍用ブーツであるというだけ。 寄生してるジェノバ細胞が宿主を死なせることは無いだろうが、仮死状態で雪の下に冬眠くらいはありそうだ。 なにせ、この山に入ってから既にもう四日が経過しているのだから。 「せめて座れる場所ないかなぁ…」 吹雪は勢いを殺すことなく吹き続けている。 この四日間ずっと。 せめて座って休みたいと木の根元に座り込み、幹に背を預けて蹲れば30分を待たずして雪が脛の半分まで迫ってくる。 では木の上ならばどうかというと、この辺りの木は針葉樹が多く、真っ直ぐ伸びた背の高い幹に上部にしか枝は無く、あっても細い枝しかないためまず確実に墜落する。 そもそも足場が悪すぎて、ジャンプしようにも普段の半分の能力も出せない。 それで仕方なく歩き続けた。 この吹雪では神羅の猟犬たちも村に足止めだろうし、今のうちに出来る限り遠ざかっておいたほうが良策だ。 というか、それしか出来ない。 「くそが……っ、こんなことで手間取ってる場合じゃねぇってのに…!」 なんという無様。 油断を突かれて襲撃されて、村人の見境無く銃を乱射しやがるから山ン中でぶっ殺そうと思ったらタークスと神羅の伏兵に不意打ちされて。 意地で顔は見せなかったけど、逃げ込んだ先で吹雪で遭難。 ――――情けなさ過ぎる。 「セフィロス……」 俺の可愛い弟。 ごめんな、お前に会えるのはまだ先のことになりそうだ。 こんな情けない姿見せられないし。 わざわざ逃げ出してまでセフィロスと会うのを先延ばしにしたというのに、合わせる顔がどこにもない。 「どれもこれも……っ!!!」 神羅のせいだ!!と手近にあった木を殴りつけた。 拳がぶつかる瞬間に、木を折ってはいけないと力を弱めたのが悪かった。 木は折れず、ただ鈍い振動が根元から頂点までを揺るがし、結果として大量の雪が降ってきた。 その場に突っ立ったまま落雪の洗礼を受けたは、頭に積もった雪にも黒い髪にくっ付いた雪にも気を向けず、ただ呆然としていた。 切れ長の目は力なく伏せられている。 「ほんとに無様だ…」 もうこのまま永眠しよっかなとか思考が危険な方向に傾き始めた。 四日間、何も口にしないままの吹雪の中での行軍はの精神に結構なダメージを与えていたらしい。 そしてぶつぶつと呟き始めたその時。 吹雪の音とは異質な音が聞こえてきた。 はぴくりと表情を鋭くすると、聴力を目一杯に引き上げる。 ただの動物かモンスターか、それとも人か。 出来れば人がいい。 安全な場所かこの近くの集落まで案内してもらえばいい。 モンスターだったらとりあえず殺してギルとポイントを稼ぐ。 動物だったら久々の食事が取れるだろう。 そして研ぎ澄ました聴覚が捉えたのは、微かな悲鳴とモンスターの唸り声。 それを認識すると同時に、声の方へとは走り出した。 岩と木を上手く使って、超人的な脚力で走り抜ける。 「まだ若いな……女性か子供、だな。」 ミニマムで小さくしていた舞草を元に戻して肩に担ぐ。 その間もスピードが緩まることは無い。 まだモンスターの唸り声は続いている。ということは襲われている人間はおそらく抵抗しているのだろう。 「間に合えよ…!」 そう祈りながら走り続ける。 そしての目に、一匹の大きな狼とフードを目深に被った小さな子供が写った。 見た目は狼だが、魔晄のニオイがするからきっとモンスターだろう。 子供はその小さな手に余る大きさのナイフを持って応戦しているが、傍目にも分が悪い。 とうとう雪に足を取られて転んでしまった。 とっさに飛び出して子供を抱えて飛び退る。 (…っぶねーーっ!!) 子供の戦い振りに気を取られていたら反応が遅れてしまった。 があとほんの数瞬遅く、もしくは子供があと数ミリ前に出ていれば獣の牙は確実に、子供の柔らかい咽笛に喰らい付いていただろう。 その光景を想像してしまい、無意識に殺気が漂う。 幼い子供を襲うモンスターと、どこまでも無様で腑抜けな自分に対して。 の放つ威圧感と存在感、そして到底及ばない実力を感じ取った狼モドキは既に逃げ腰だ。 それを認知しながら、半ば八つ当たり、残りはこの山の安全のために容赦なく舞草で一刀両断する。 流れ出る血潮は一瞬で、血の跡も残さずに死体は溶けるように消えた。 やはりモンスターだったようだ。 魔晄を浴びた変種であるモンスターは生命活動を終えたらライフストリームに還り、肉が残ることはほとんど無い。 例外はあるが。 モンスターの死を確認して、腕の中の子供に視線を落とす。 ほとんどが隠されている子供の顔を覗き込むと、フードの奥から大きな、驚くほど真っ青な目がを凝視していた。 空のように柔らかく、海のように深い青、□□蒼、□□□□藍。 ちいさな顔の半分を占めていそうな目をさらに零れるくらいに見開いて、の顔を見つめてくる。 子供の真っ直ぐな、澄んだ瞳の視線にくすぐったさと、不審というか疑問を感じ始めた頃、紅く小さな口唇が動いた。 聴き溢しそうなほど微かな声。 それに込められた感情はよく感じ取れなかったけれど。 「………神さま?」 珍しく、思考が完全停止した瞬間だった。 ++あとがき++ クラウド編始まりました。 すみません、最初アンケでクラウド優勢だったので書き始めていたのです。 それで現在、ザックスに追い越されそうだったので慌ててUPしました。 他のを期待してた方々、まことに申し訳ございません…。ほんとにすみません、ごめんなさい、謝ります…! |