「あれ…?ここどこ…?」








今現在、67歳にして女子高校生をしている は困惑していた。





確か私は学校から帰る途中だったはずなんですけど。


確かに少し薄暗かったけど、こんな月明かりしかないほどじゃなかった。


半吸血鬼の私にすれば苦になる暗さではないけれど。





長い濡れ羽色の黒髪が風にたなびいた。普段は黒いコンタクトで隠しているが、それはどこかへやってしまったらしい。紅い瞳を瞬かせた。




街灯が一本も見当たらない。
とりあえず周りを見回してみた。
うわ。私が住んでたとこじゃあり得ないような深い森だ。




「こんな森の中に来た覚えないですし―――わっ!!!ど、どなたですか…?」



頭の中でぐるぐると考えていたら、いつのまにか茂みの向こうに人が立っていた。
下を向いたまま顔を上げずに黙っている。



「あ、あのー、ここがどこか知りませんか?私、迷子みたいなんですけど……」



返事が無い。




「あ、あのー、…具合でも悪いんですか?」



人影はほんの少し動きを見せ始めた。ゆるゆると頭を上げるが、こちらからは陰になっていてなかなか顔が見えない。



「もしもーし…?」


















瞬間、心臓が凍りついた。













相手の顔は、鼻は腐り落ち、皮膚はところどころ剥がれていて、その下からは白く蠢く蛆虫が覗いていた。







こちらに手を伸ばしてくる。




その手から零れ落ちた蛆虫と、相手の表情の無い白濁した目を見たとたん、私は脱兎のごとく走り出した。




なんなのですか、なんなのですかあれっ!!あんなの映画か漫画でしか見たことない!バイオハザードですか?!
いくら67年生きているからって、あんなのナマで見たことがないですっ。最近なんかの漫画で見たことあるような気もするけどこんな時に思い出せるかっっ!!!

……あれ?なんか追いかけてきてるんですけど!しかも数増えてるんですけど!!






「なんだかゾンビみたい………勘弁して下さい……っ」






姿や着てるものは異なるが確かに同じ種類だとわかる。追いかけてくるものたちの蛆虫までしっかりと判別できる自分の超人的な視力が恨めしい。












普段は、便利としか考えてなかったのに。